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2010年10月の記事
本流・逆流
2010/10/25
いま、日本の労働者は最悪な状況におかれている。労働者の4人に1人、1100万人が年収200万円以下である。とりわけ、タクシー労働者の多くがこの部類に入るであろう。この年収で「安心・安全」を担保できるのだろうか▼まさに、この業界は疲弊している。昨年10月施行のタクシー特措法によって規制強化の方向へ舵が切られたが、大阪では経営者のエゴが蔓延し、なかなか大幅減車が前進していない。3500台程度の減車では経営環境は改善できないし、労働者の賃金に跳ね返るのはごく僅かである▼08年9月に大阪城公園で労使一体の集会を成功させ、大幅減車を訴えたのは何だったのか。私たち労働組合はこれからも経営者に対して具体的数字を示し、大幅減車を求めていく。各経営者は早急に決断すべきだ▼いざという時に団結できない大阪タクシー業界の経営者の情けなさには、哀れみさえ感じる。最高時42億人を超えた利用者が、いまや21億人にまで半減している事実を認識していながら、消費税導入のとき、タクシー規制緩和のとき、反対を唱えた経営者はごく僅かだった▼タクシーの将来を考え、個人の利益よりも業界全体の利益を考えた行動が、いま求められているのである。(み)
人の命預かる公共交通がこの年齢構成でいいのか
2010/10/15
60歳以上が60.8%─
若返りには大幅減車による賃金改善しかない
大阪タクシーセンターがまとめた9月30日現在の大阪地域の運転者証(事業者交付証)交付状況によると、60歳以上の乗務員が法人・個人合わせて1万9千229人、全体の60.8%を占めています。しかも70歳以上は3245人で、40歳未満(1061人)の3倍以上。人の命を預かる公共交通においては危惧される年齢構成です。
しかし、現状の大阪の平均営収では月給20万も難しく、子育てなど生活費が最も必要な30〜40代にとってタクシー業は転職の選択肢に入りません。
事業者は減車を遊休車両の整理に終わらせず、1車1人制の廃止と組み合わせた実効性ある大幅減車で「安心安全」の責任を早急に果たすべきであり、行政にも指導力が求められます。
タクシー新法施行1年 10・1宣伝行動
2010/10/15
「累進歩合制賃金に対する罰則の法令化」や「実効性ある大幅減車」の早急な実現を求め、市民・行政にアピールする大阪地連のなかま(10月1日、谷四で)
規制緩和がもたらした負のサイクル改善しよう
増車・安値競争→乗務員賃金減→長時間労働過労運転→事故・法違反急増→安心・安全崩壊→改善めざし法改正→地域協議会「適正化(減車)すべき」
タクシー適正化・活性化特措法の施行1周年を迎えた10月1日、大阪地連(岡田紀一郎委員長)は大阪市中央区の近畿運輸局・大阪労働局前で宣伝行動に取り組み、なかま60人が「2割減車では不十分、運輸局・労働局はスピーディーに行政責任を果たせ」とアピール。市民に向けて減車への理解を訴えました。
市民に向けて配布したビラでは累進歩合の仕組みを解説。1車あたりの営収が下がっても同時に乗務員の賃率が下がり、事業者に入る金額がほぼ変わらないこと、事業者がそれを背景に利益を確保しようと台数を増やしたため、そのしわ寄せを乗務員が被っていることを明らかにしています。
さらにタクシー活性化法によって協調的に減車する枠組みが整えられ、地域協議会で適正化に向けた議論が行われているのに「協議に参加せず、『減車しない』と言い張るわがままな会社も存在」「減車しない会社は、自己の利益のみを優先して、運転者に低賃金を押し付け、タクシー全体の安全を破壊する」と指摘し、「労働者と利用者の世論の力で包囲しなければなりません」としています。
マイクを握った岡田委員長ら幹部は「累進歩合に対する罰則がないために、タクシー事業者は行政をなめて台数を増やしてきた。事業者が考える常識は世間の非常識だ」と厳しく批判しました。
その後なかまは、新大阪・千里中央・難波・堺東の各駅でも宣伝行動に取り組みました。
恩加島タクシー闘争・宣伝行動
2010/10/05
地域のなかまと連帯して争議解決めざす
恩加島(おかじま)タクシー梶i大阪市大正区・越智忠正社長)による不当解雇・労働協約破り・第2組合との差別扱いとたたかう恩加島タクシー労組は9月27日、同区の泉尾(いずお)商店街で地域住民に向けた宣伝行動に取り組みました。
大阪地連のほか、大正区労連からもなかまが支援に駆けつけ、ビラやマイクで道行く人々に支援を訴えました。
南地協の山本議長は「地域公共交通の安心・安全を守るためにも乗務員の労働条件を改善しようと組合執行委員に就任した畠山菊三さんを、恩加島タクシーは正当な理由もなく雇い止め解雇しました」「大正区唯一のタクシー会社として区民の信頼を裏切らないためにも、越智社長は不当解雇を撤回し、労使関係を正常化すべきです」と力を込めました。
恩加島労組・上岡委員長は「私たちは地域で働く労働者と連帯して、大正区から不当労働行為を一掃するため大正区労連に加盟しました。争議解決めざして宣伝行動を継続していきます」と話しました。
特定地域合同協議会再開もスピード感なし
2010/10/05
現場の痛み理解せよ!!
さらなる大幅減車必至
3月に地域計画を策定した大阪府タクシー特定地域合同協議会(長井総和会長=近畿運輸局自動車交通部長)は、同計画のフォローアップの場として9月24日に再開。第6回会合を大阪合同庁舎4号館・海技試験室で開き、関係各団体の代表が議論を交わしました。
協議会事務局は、9月14日現在の事業再構築の申請状況について、大阪市域では減・休車合計1706両の申請があり、これが実行されると近運局が示した適性車両数に近づくことになる、と説明。長井会長は減車効果が表れる時期について、「年明け、1月ぐらいには減車が完了するのではないかと関係者から聞いている」「1万3千両を割り込むような効果は来年の春ごろから順次出るのかなと思う」との見通しを示しました。
今回もワンコインタクシー協会・町野会長が自社のビジネスモデルの正当性を声高に主張したことから、議論は荒れ気味に展開しました。
大阪地連の庭和田書記長は「他の交通機関の労働者にタクシーのような高齢化の状況はない」「人命を預かる仕事でありながら最低賃金を割り込む事態に陥っている」「現在の各社の稼働率はおしなべて8割ぐらいだ。仮に3500両減らしたとしても基準車両数の2割に過ぎない。動いていない車を形式上減らすだけでは、市場に跳ね返らない。少なくとももう一、二段の減車をしないかぎり乗務員の労働条件は変わらない」と指摘し、「この協議会では、いまの混乱している状況を一刻も早く収めるための議論をすべき」と強調しました。