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2011年10月の記事
自交総連本部が第34回定期大会・新年度運動方針を決定
2011/10/25
問われる企業の社会的責任
自交総連本部(飯沼博委員長)は10月18〜19日、第34回定期大会を東京都墨田区内で開き、『すべての自交労働者のもてる力を結集し、要求闘争の新たな前進、組織の強化拡大を』を中心スローガンとする2011年度運動方針を決定しました。
被災者切り捨て許すな
大会は議長団に矢ヶ部(東京地連)・畑(大阪地連)の両氏を選任し、議事を開始しました。
あいさつに立った飯沼委員長は冒頭、東日本大震災で宮城地連のなかま2人、福島地連のなかま1人と家族が犠牲になったことを紹介。同震災犠牲者への哀悼の意を表し、全員で黙とうを捧げました。
あいさつで同委員長は、甚大な被害を受けたなかで奮闘している宮城・福島両地連のなかまに敬意を表するとともに、義援金の呼びかけに応じた全国のなかまへの謝辞を述べました。
そして震災から7か月が経過しても復興が遅々として進まず、「福島第一原発は事故収束の見通しが立たず、放射能汚染が拡大している」「政府は水産特区構想やTPPへの参加など、震災に乗じて構造改革型の施策を押しつけようとしている」と指摘。「被災地復興は地域社会全体の再建を目的とし、すべての被災者への支援が必要」「除染と賠償は国と東電が責任を持って行うべき。不当な線引きによる被災者切り捨ては許されない」「原発ゼロに向けて再生エネルギーへの政策転換を求める」と強調しました。
ハイタクの現状については「全国的にみて規制緩和時点を下回る車両数にまで減車させることができた」「自交総連の運動と政策提言、地域協議会での奮闘が原動力になっている」と評価したうえで、「(減車への)非協力的事業者に対する調査、指導の強化と事業再構築の効果の検証が最大の課題」「日車営収でみると前年同月比でプラスに転じているが、乗務員の労働条件改善という点でみると、いまだに不十分」と指摘し、「減車闘争は正念場にかかっている。運動を引き続き強化しなければならない」と訴えました。
さらに、真の問題解決を図るため「事業者がタクシー運転免許の検討を余儀なくされるような流れを作り出さなければならない」「職場のたたかいを基礎に、企業の枠に閉じこもらず、産別統一闘争を重視する必要がある」と強調しました。
規制緩和容認反省せよ
《休憩時間の設定方法を見直し、労働時間を短縮する》《時間管理を徹底し、労働時間を的確に把握する》《利用客の動向に即した勤務シフトを作成し、無駄な走行、待機を減らす》──議案の提案を行なった本部・今村書記長は、全タク連が各事業者向けに作成したリーフレット『見直して下さい 時間管理の方法と勤務シフト』を紹介。「(この文書は)最賃法違反対策と思わざるを得ない。今回の最賃改定でも経営者は“引き上げ絶対反対”で階級性を発揮している」と指摘。「減車をさらに推進し、運収状況の改善を図ることが経営者が本来やるべき方法であり、“止まっている時間は労働時間とみなさない、その分は賃金カット”というやり方は筋違いだ。皆さんには警戒心を持っていただきたい」と呼び掛けました。
そして「最低賃金さえまともに払えないような事業実態になってしまった原因には、規制緩和を容認し、その波に乗って自ら増車をし、運賃競争をやってきた経営者自身の責任が大きい。それを本当に反省するならば、まっとうなやり方で労働者の賃金や雇用を確保しなければならない。それが企業の社会的責任」と説き、それを私たち労働組合がもっと強く、主張・追及しなければならない、と強調しました。
2日目の採決では満場一致の賛成で2011年度運動方針などが決定。討論では14地方・18人が発言、大阪地連からは3人(バス=山本、タクシー=吉田、総括=松下の各氏)が発言しました。また大会終了後、大阪地連は国土交通省に赴き「観光バスの輸送秩序・安全確保」を要請しました。
韓国労働研究院と懇談
2011/10/18
タクシーの供給過剰や労働者の収入減問題
日韓とも課題共通
韓国労働研究院の「圭植(ペ・キウシク)労使・社会政策研究本部長他3人が10月4日午前、自交会館を訪れ、大阪地連の園田委員長らと日韓のタクシー問題を細部に渡り意見交換。ペ本部長や李氏は、日本の最低賃金の適用や賃金システム、供給過剰抑制にとくに関心が高く日本と韓国の違いを聞き、「今後の参考にしたい」と感想を述べました。
4日午前、韓国労働研究院のぺ本部長ら3氏が自交会館を訪れ園田委員長、庭和田書記長と、日韓のタクシー問題について、それぞれの視点で意見交換しました。
ぺ本部長は、「韓国ではバスを準公営化し、路線の整備や地下鉄などモータリゼーションが発達するとともに運転代行業者も増え、タクシーの需要が年々減少、労働者の賃金は年収で150万ウォン(固定経費100万ウォン、残りが収入。男子平均300万ウォン)」と実情を述べ、日本はどうなのか質しました。
園田委員長は「日本も同様の状態で年収は230〜270万円ぐらい男子常用労働者の平均年収の約半分」と応じ、韓国のタクシー労働者の高齢化問題、運賃、参入資格など質問しました。
ぺ本部長は「韓国も高齢化問題はあるが、日本ほどではない、韓国は労働時間が長く60歳以上は入りたくても激務のため耐えられない」「運賃は同一地域同一運賃だが、参入資格は市が国土海洋部から委託され“タクシー免許”(1種・2種で1種が難しい)を発行している。06年から2種でも営業できるようになり急増した」と返答。日韓ともタクシーの供給過剰と収入減が共通課題でした。
韓国労働研究院は1988年の設立以来、労使関係、労働市場、雇用政策、福祉に関わる分野で学際的な研究を行っている研究機関です。
交通政策闘争基金理事・監事 常任執行委員 合同会議
2011/10/18
「タクシー乗務員の高齢化にともなって死亡件数が増加しており、基金としても議論が必要」と問題提起する園田委員長(10月7日)
特措法施行2年、適正賃金へ道なかば
さらなる大幅減車めざし運動強化を
大阪地連(園田公作委員長)は10月7日、常任執行委員および交通政策闘争基金の理事・監事による合同会議を開きました。該当役員や同基金事務担当者ら16人が参加して、同基金の1年間の総括と次年度事業計画を協議。11月1日開催予定の理事会を経て同日の第46回評議員会に提案することを確認しました。
今回の合同会議で確認した交通政策闘争基金・2011年度総括案では、情勢の特徴として「タクシー特措法施行から2年、大阪のタクシー労働者を取り巻く状況は目に見えて改善されたとは言い難い状態が続いています。特措法による減車は約17%と一定進みましたが、私たちがせめて規制緩和直前の売上げ平均3万5千円に戻すために必要だと主張してきた7千〜1万台の減車にはまだまだ」「収入の低さから乗務員の高齢化はいっそう進み、体調を崩してもお金がなくて医者にもかかれない、さらに体調が悪くなり収入が減る悪循環が大阪のタクシー労働者を蝕(むしば)んでいます。タクシー産業全体として長引く不況で中小のタクシー企業の体力が落ち、廃業・倒産に追い込まれる企業も後を絶ちません。また東京で顕著に表れた大手による寡占(かせん)化や、業績悪化を口実にした労働条件切り下げも全国的に拡がっており、大阪も例外ではありません」としています。
近年ない死亡件数
また審議の中で、会員の死亡者数が近年にない件数で、今後も安定して闘争基金を継続するためにも弔慰金の減額を考えざるを得ないとした結論に至り、11月1日に開催する第46回評議員会を前に試算表に基づき給付額について理事会で議論することを決めました。
午後からは、大阪地連・第66回定期大会で提案する11年度総括と12年度運動方針案も審議しました。
近畿運輸局が第2回「カイゼン作戦」実施
2011/10/05
放置自転車で溢れかえる北新地(2)乗り場(9月28日22時30分頃、北新地で)
利用者への周知徹底
相対運賃禁止・正規乗場利用
運動で業界に意識改革を
近畿運輸局は9月28日の22〜23時、北新地の国道2号線西行き(桜橋東〜曽根崎新地1交差点間)で、タクシー不法行為の集中取り締まり「カイゼン作戦」第2弾を実施。今回も現場には事業者や業界紙記者など関係者が大勢駆けつけ、普段同エリアを根城にしているチャブリは姿を隠していました。
「やあ、どうもご苦労様です」「こんだけ人おったら、捕まるやつおらんで」──現場では事業者とおぼしき人々が、誘導灯片手に談笑する姿があちこちで見られました。
業界紙によると、近運局の担当専門官は“ギャラリー”の多さを指摘し、「(事業者)それぞれが自社の車を(違法行為現認から)守るために来ているよう」だと苦言を呈したといいます。当然、チャブリも当日はどこかに雲隠れ。翌日からの再稼働が容易に想像できます。
そんな状況の中でも取り締まり中に新地の中から実車で国道に出てきた車があったほか、取り締まり終了後に本紙取材班が新地内を調査すると通行禁止時間(22〜1時)内にも関わらず営業中の車を4台見かけました。
正規のタクシー乗場では多数の放置自転車が乗車口をふさぐように溢れかえっていて、“利用者に正規乗場から乗ってもらう”という意識の希薄さを垣間見るようでした。事業者団体やタクセンはもちろん、自治体や警察も含めた議論の必要性を感じました。