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2007年11月の記事
大阪地連第62回定期大会
2007/11/26
第62回定期大会の会場に詰めかけた中央委員、代議員の各氏がかったつに討論する(13日午後、ホテルセイリュウで)
すべての自交労働者視野に全力あげて奮闘を
大阪地連(権田正良委員長)は11月13〜14日、第62回定期大会をホテルセイリュウ(東大阪市)で開き、07年度の運動を総括するとともに、新年度の運動方針を決定しました。
さらに業界巻き込んだ運動を
大会の議長には今川(水鉄)と板木平(関中万国)の両氏を選出。
初日の来賓あいさつに立った自交総連本部の飯沼博委員長は、東京の運賃改定が11月2日に認可され、運賃改定の流れが全国的に強まっていることを紹介したうえで、「値下げ競争が止まらず、運賃改定が実現に至ってない地域、その代表が大阪」と指摘。業界や利用者を巻き込んだ運動をさらに進めることで大阪でも運賃改定を実現し、労働条件を改善するよう奮闘を呼びかけました。
続けて、日本共産党大阪府委員会の宮本たけし副委員長、大阪労連の植田保二議長があいさつを行ない、共にたたかう決意を表明しました。
2日目には、「07年運動総括」や「08年運動方針案」など5本の議案が全員一致で採決されたほか、地連規約の一部改正(第4条『会の目的』に『8、福利厚生の充実をはかるために共済事業を行なう』を補強)の賛否を問う投票が行なわれ、全員賛成で改正が認められました。
また、「『安心・安全』のタクシー・観光バスを目指し、すべての自交労働者を視野に全力をあげて奮闘する」とした大会決議も満場の拍手で採択されました。
大阪のタクシーは“乱”
2007/11/26
あいさつ(要旨)
先日、ある業界新聞社からのアンケート調査で、「現在のバス・タクシー業界を漢字1文字で表すと何になりますか」という設問がありました。この設問に対して私がとっさに頭に浮かべた漢字は、「乱」でした。
運賃の乱れ。供給過剰による「市場」の乱れ。順法精神が欠落した事業者の氾濫による公正競争の乱れ。「乱」は、今の大阪のタクシー業界を言い表している漢字ではないでしょうか。まさに「乱世」であります。
運輸行政の無作為が生み出したウイルスが業界に増殖
みなさん。
規制緩和後、運輸行政の無作為から生み出された、ワンコインタクシーというウイルスが増殖し、今では1500台に拡大して混乱に拍車をかけています。
下限割れ運賃は「三菱グループ」や「さくらグループ」に加えて個人タクシーにも広がり、そのうえ小型タクシーをも巻き込んだ、過酷な運賃戦争が展開されています。
こうした大阪のタクシー事業の危機に対して、大阪地連は07春闘で、深刻な状況を打開し、大阪のタクシー再生をめざす取り組みとして、「政策課題集団交渉」を関係事業者に申し入れました。
申し入れに対して、17事業者と19労組からなる集交団が結成され、以後3回にわたり交渉が行われた結果、「大阪のタクシー再生をめざす、アピールと4項目の確認書」を6月21日に合意することができました。
合意した確認事項の主な柱のひとつは、下限割れ運賃をなくすために労使共同して実行ある措置を講じる。もうひとつは、行政当局へ需給の適正化を求めていく、というものです。
私たちは、下限割れ運賃や企業内個人タクシーと称する、法違反の「名義貸し・事業の貸渡し行為」を是正させるための運動を強化します。同時に事業者には、下限割れ運賃の収束と、企業内個人タクシーの撲滅をめざし、大いに努力されることを期待するものです。
あずみ野観光バスの事故はルール崩壊が招いた帰結
みなさん。
今年2月18日の未明、吹田市の大阪中央環状線で、長野県の「あずみ野観光バス」の大型バスが、橋脚に激突し、乗っていた16歳のアルバイト乗務員が死亡し、26名が重軽傷を負うという事故が発生しました。
事故の原因は、深夜運行なのにワンマン運行で、適正な運転士の配置がされていなかったこと。事業者が長時間過重労働など安全にかかわる法令違反を認識しながら、運転を強行したことなどが挙げられます。
貸切バス事業の需給調整規制撤廃から7年余り。この間の新規参入による増車と、運賃ダンピングによる過当競争は、資金力の弱い中小業者の経営をより困難にして弱肉強食の業界をつくりだし、並行して無理な運行を引き起こしました。
このように事故の背景には、過当競争によるルール崩壊と、安全輸送を軽視する「業界風土」にした政府の規制緩和策があります。また、安全輸送を顧みることなく、違法と知りつつも法外な低運賃をバス会社に押しつける旅行業者の存在があります。
バス部会には、今後ともこうした事故原因、背景要因を取り除くための運動を強化することが求められています。
労供・嘱託乗務員の組織化に全力をあげて取り組む!!
みなさん。
自交総連の運動や闘いは多岐にわたり、それぞれが重要な課題ばかりです。中でも最重要課題として組織の拡大・強化に熱いエネルギーを注がなければなりません。
多くの職場で嘱託乗務員の比率が、ますます増大し、正規乗務員と逆転することは確実です。組織を減らさず、分厚いものもするためには、今まで以上に本腰を入れて、労供・嘱託乗務員の組織化に、力をつくさなければなりません。
最後に、来年1月27日の投票日で争われる、大阪府知事選挙で梅田章二さんの勝利めざして奮闘されんことをお願いして、執行委員会を代表してのあいさつと致します。
11・16中央行動 国交・厚労省、全乗連に要請
2007/11/26
タクシー運賃改定時の労働条件改善等に関する「請願書」を読み上げ要請する本部の菊池書記次長(16日午前、国交省前で)
社会的公約守れ
「タクシー運賃改定の社会的公約守れ!!運転者の労働条件改善『安心・安全』輸送の確立」を求め自交総連本部(飯沼博中央執行委員長)は11月16日、霞ヶ関での早朝ビラ宣伝につづき国土交通省に対し1000人の自交労働者が請願しました。
大阪地連は権田委員長、久保書記長他1人が参加し、大阪のなかまから託された1058筆の個人署名を同省の職員に手渡して、労働条件改善の社会的公約を果たすよう強く求めました。
午後からは、本部三役と地方代表が国土交通省、厚生労働省、全乗連と交渉しました。(内容は次号報道予定)
持ち帰り・名義貸しを資料で証明
2007/11/15
まさに“持ち帰り”
今回の交渉で大阪地連が提出した「下限割れ事業者実態調査結果」は、大阪タクシー再生対策委員会が10月8日午前2時から11日の午前0時30分まで、下限割れ事業者A社のガレージ前で営業車の出入りをチェックしたものです。
「車番○○−△△が調査開始後、初めて姿を現わして入庫したのが2日後の16時14分。それまで出っぱなしだったことになる。車はアンドンを外し、乗務員は私服」
「□□−◇◇は8日の15時40分に出庫してから、我々が調査を終えるまで帰ってこなかった」
調査結果を説明した沢田副委員長は、車番ごとに不在時間をグラフ化した資料を示しながら、A社の異常な実態を指摘し、「まさに“持ち帰り”で、違反は明らかだ。長時間・過労運転など安全面でも大きな問題がある。局のほうで調査してもらいたい」と要請しました。
名義貸しに監査を
続けて組合側は独自に入手したB社の「社員乗務員の規約」「経費一覧」を紹介。
「規約」によると点呼日は月2回。そして会社が行なうべき点検・整備が乗務員任せになっている実態を裏付ける項目もあります。
「経費一覧」では、社会保険料の会社負担がなく、対物保険料は乗務員持ち。通常ではありえない「事務経費8万円」「車両購入費」の記載は同社の「名義貸し」を証明しています。
組合側は「このような制度のもとに“”500円”は成り立っている」として、同局に実態を告発しました。
局側は「問題意識がないわけではない。資料は監査指導部に渡して、具体的な動きをとれるよう努力していく」と回答しました。
附帯決議守れ
さらに組合側は、下限割れ事業者による請負制を装った消費税逃れも指摘し、「国税だけの問題ではない」として同局の対処を要求。局側は「法的に義務づけられている届出については実態を掴んで指導していく」と回答しました。
権田委員長は「改正道路運送法の附帯決議に“人件費と費用については適正な水準を反映させるとともに、不当な競争を引き起こすおそれがある運賃は排除する”とはっきり書いてある」と指摘し、下限割れ運賃の排除や審査基準の見直しを強く求めました。
沢田副委員長は調査の早急な実施について「やるといいながら期日を決めないのは空手形だ」と語気を強め、こうクギを刺しました。
「我々が思っている期日までに調査しないのであれば、何回でも同じ調査をして実態を公表する。そして“局は何も動かない“と宣伝することになる」。
【第一交通闘争】近畿運輸局交渉で偽装廃業事件の行政責任を追及
2007/11/15
実態調査の資料を示し局の見解を質す組合代表(2日午前、近運局で)
法律の欠陥は明らか
11月2日、大阪地連(権田正良委員長)は近畿運輸局(各務正人局長)との交渉を行ない、同局が第一交通の偽装廃業に手を貸した責任を追及したほか、下限割れ事業者への厳格な対処を要請しました。(2〜3面に関連記事と回答要旨)
近運局も動いて法改正を
「やはり道路運送法なり公示基準に沿って、申請を処理しなければいけない」
宮内旅客二課長が早口でこう答えると、交渉団の一人はため息をつきました。
第一交通産業本社を明確に断罪した10・26高裁判決後、初めての対行政交渉。組合側は判決を踏まえて、偽装解散・解雇の行政責任を認めるよう局に迫りましたがその回答は、大阪地連が御影第一の申請を却下するよう要請した当時とまったく代わり映えのないものでした。
権田委員長は「行政も第一交通には裏切られているのに、納得できない」と不快感を示し、沢田副委員長はいらだちを隠さず「結論的に裁判で“偽装廃業だった”と認められた。判決が確定したら局としての謝罪、あるいは“判断を間違っていた”と声明を出してもらいたい」と、なかまの思いをぶつけました。
偽装解散・解雇で職場を失った当事者でもある堀川副委員長は、「高裁判決が確定したら、局はどう動くのか」「今回のような手法で組合つぶしをたくらむ業者はほかにもいる。法律に欠陥があるのは明らかだ。行政はどう対処するのか」と質しました。
しかし局側は「私たちが具体的に動くかどうかは、最終的な判断があった時に見極める」とかわしたうえで、高裁判決確定後の第一交通の動きについても「これについて“どうこうせよ”とはならない」と突っぱねました。
回答に対して同副委員長は「大きな事故を起こした会社が、被害者に何の保障もせずに廃業・倒産したら、大きな問題になる」と指摘。「廃業についての許可基準をきっちりした法律にしてもらいたい」「(改悪後の道路運送法は)労働者のセーフティネットがまったく考えられていない。局が動いて本省に働きかけてほしい」と重ねて要請しました。
局側は「法改正に関わる問題でもあるし、ここで私が返答できる立場ではない。問題意識は持っている」と述べるにとどまりました。
権田委員長は「私たちは行政に不信を持っている」と述べ、高裁判決確定後の再交渉を申し入れました。
【第一交通闘争】佐野南海労組の完全勝利
2007/11/05
第一交通産業本社に雇用と損害賠償責任
弁護士 藤木邦顕
佐野南海交通労組争議の最大の焦点、解散解雇についての地位確認請求事件は、10月26日大阪高裁で控訴審判決があり、同高裁第3民事部(島田清次郎裁判長)は、佐野南海交通組合員について第一交通産業本社との間に雇用関係があると認め、従業員の地位の確認と賃金の支払い、組合員各個人と佐野南海労組、自交総連大阪地連に対してそれぞれ組合壊滅を目的とした佐野第一交通の解散をしたことについての損害賠償を命じました。
高裁判決の意義としては、二転三転した雇用の相手方は誰かという問題に高裁が決着をつけ、第一交通産業本社であるとしたこと、一審に引き続いて佐野第一の解散を偽装解散として、組合壊滅を目的としたものであったと認め、黒土始会長、田中亮一郎社長についても個人としての損害賠償を認めたことです。
弁護団としては、従来の布施自動車教習所事件の判断からしても第一交通本社が雇用責任を負うべきであると考えており、今回の高裁判決によって、第一交通産業は逃げられないところへ追いつめられたといえます。
会社はなおも最高裁へ上告などをする意向であり、現実の就労実現・争議全面解決のために組合・支援共闘会議とともに一層奮闘する決意です。
【第一交通闘争】偽装廃業・解雇事件控訴審判決
2007/11/05
感動の涙をこらえつつ勝訴の謝辞を述べる佐野南海交通労組のなかま(10月26日)
完全勝利
親会社・第一交通の雇用責任を認定
10月26日、佐野第一交通の偽装廃業・不当解雇事件の控訴審で、大阪高裁84号法廷(島田清次郎裁判長)は組合側の主張を全面的に認め、親会社である第一交通産業の雇用責任を認定。同社に賃金の支払いと損害賠償を命じるとともに、黒土始会長と田中亮一郎社長の個人にも損害賠償を命じました。
判決後、中之島・中央公会堂に原告や支援者ら140人が詰めかけた報告集会。判決主文の確認を終えた藤木弁護士が「完全な勝利」と報告すると大きな拍手と歓声が起こりました。
小林弁護団長は判決について「法律闘争全体を最終的に締めくくった重大な判決。今後、企業の解散・解雇が起こった場合、親会社や背景資本の責任を追及するにあたって、おそらく第一に引用される重要な裁判例になる」と評価しました。
大阪地連の権田委員長は「この闘争の集大成の裁判ということで、1246筆の団体署名と10263筆の個人署名を全国からいただき、本当にありがとうございました。解雇された55人を一刻も早く職場に戻すためにも最後の最後まで皆さんのご支援をお願いします」とあいさつしました。
勝ってこその涙
「天王山で勝利したというのが我々の認識です。本当に職場を確保して、争議を全面解決することが一番求められているし、皆さんの支援に報いることになると思います」
最後に原告を代表して支援への謝辞を述べた佐野南海労組の堀川委員長は、「私たちを支えてくれているのは、もちろん家族もそうですけども…」とまで述べると涙をこらえることができませんでした。なかまからの掛声に「負けたら涙なんか出るかいなー」と切り返すと、会場は暖かな拍手と笑い声に包まれました。