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2014年11月の記事
自交総連大阪地連 第69回定期大会 秋山民夫委員長あいさつ
2014/11/26
業界の未来に向け大幅減車実現を
4月に消費税が8%に増税され、私たちは97年のように営収が大きく落ち込むのではと危惧しましたが、ほぼ昨年並みで推移しています。しかし、多すぎるタクシーが利用者を奪い合っている実態は変わりません。1車あたりの営収が落ちていなくても稼働率の低下に歯止めがかからず、業界の総営収は大きく落ち込み、タクシー産業の存続さえ危ぶまれる状況です。
皆さん、稼働率が低迷しているのは労働条件がいつまでたっても改善されないからです。労働条件の悪さから若年者の雇用がなく、乗務員が高齢化して登録が大きく減少しています。決して適正な台数に対して乗務員が不足しているのではなく、車が多すぎるのです。景気の大幅な上昇が見込まれない中、減車以外に労働条件を改善する道はありません。
今年1月に改正タクシー特措法が施行されましたが、実効性ある運用がなされていれば大阪は特定地域に指定され強制減車が行われるはずでした。しかし職場の期待に反し、規制緩和勢力などの横槍もあり、いまだに特定地域指定の明確な基準さえ示されていないのが現状です。
その上、泉州交通圏はわずかに基準を上回っただけで準特定地域の指定を外されました。労働条件改善が一向に進まない中での指定解除は基準そのものに問題がある証左であり、告示の欠陥を露呈したもので、行政の責任は免れません。
橋下「特区」は妄言
業界全体で抗議を
大阪でも消費税増税に伴い公定幅運賃が決められ、運賃問題は公定幅に収斂するものと思われましたが、逸脱する事業者が出て裁判所が仮処分を認めるという状況になっています。
このような状況に乗じたのが橋下大阪市長のタクシー特区提案です。私たちは直ちに「大阪のタクシー産業をつぶす気か」と抗議し、静観する業界にいち早く警鐘を鳴らしました。特区は今回見送りとなりましたが、橋下市長の提案は大阪を特定地域に指定しないと言ったのと同義であり、見過ごす訳にはいきません。なぜなら特定地域の指定要件として自治体首長の承認が必要だからです。大阪のタクシー業界を挙げて、橋下市長の妄言に断固抗議しなければなりません。
労働条件を改善し、若者が働ける産業にするためには適正台数への減車しかありません。行政・事業者に対して強く求めていかなければなりません。改正法でも適正化できない今こそ私たち自交総連が提唱する「タクシー運転免許制度」が必要です。この大会で皆さんの活発な議論をいただき、闘う大阪地連の本領を発揮しようではありませんか。
自交総連大阪地連 第69回定期大会
2014/11/26
団結ガンバロー三唱で大会を締めくくる大阪地連のなかま(11月13日、池田市内で)
維新にピリオドを
西地協と南地協が合流、南西地協に
大阪地連は11月12〜13日、第69回定期大会を池田市内で開き、「『減車による適正台数』と『上限運賃の確保』と合わせて、地域の経営者の共同の責任による労働条件改善のための環境整備を求めていく」などとする2015年度運動方針を全会一致の賛成で決定するとともに役員選挙で秋山民夫委員長(再任)をはじめとする執行部を選出しました。また、西地協と南地協は今大会を境に合流し、南西地協となります。
大会は議長団に山本(大阪東洋)・横田(茨木)両氏を選出して議事を開始。あいさつに立った大阪地連・秋山委員長は「労働条件を改善し、若者が働ける産業にするためには適正台数への減車しかない。行政・事業者に対して強く求めていかなければならない」と訴えました。
自交本部の今村書記長は来賓あいさつで「改正タクシー特措法は、みんなの党以外すべての政党が賛成して成立した。賛成した政党がやるべきことは明らか」とした上で「党代表と幹事長が首長としてタクシー自由化特区を提案し国会でも規制強化を批判する維新は政党のあり方としておかしい」、自民党についても「特定地域指定を空文化するような規制改革会議の攻撃を黙認している。政権の構造改革路線に引きずられている」と指弾しました。
議案の提案を行なった大阪地連・庭和田書記長は、「特定地域指定が最大の課題だが、大阪市域では橋下市長が大きなハードルとして立ちはだかる」「維新政治を終わらせない限り自交産業を取り巻く問題は解決しない」と指摘、「組合員の政党支持の自由を保障した上で労働組合としてなすべきことをする」と力を込めました。
第8回交運研 時代の変化も見据え提言
2014/11/18
第8回交通問題研究集会の開会を宣言する光部泰宏氏(交運研幹事)と各産別の幹部たち(25日、ニューウェルシティー湯河原で)
新たな交通政策づくりを
交通運輸政策研究会(安藤 陽会長)は10月25日〜26日、熱海市の「ニューウェルシティー湯河原」で、第8回交通問題研究集会をひらき、学者や陸海空港湾の労働組合幹部(大阪2人、東京4人)が「2015交通政策」の提言にむけて、各産業の現状や将来にむけた政策について協議しました。今回の議論を踏まえ11月末に再度研究者と各分野の組合幹部が意見を精査し、最終的な政策を年明けを目途にとりまとめます。
交通のあり方を示す
新たな“交通政策”を
主催者を代表して安藤会長は、「交運研も25周年を迎えた、90年に伊東市で研究者と労働組合の幹部が結集し、今回で8回目になる。これまでシンポジウムや内外の交通事情調査を行い93年〜08年にかけて4回にわたり交通のあり方を提言してきた」と交運研の歴史を振り返りました。
つづけて同氏は「国民が安心して利用できる公共交通・運輸には労働者の労働環境の整備は必要で、新しい時代への交通政策として、当時の運輸政策審議会に対し、規制緩和に批判的な立場で提言した。08年から6年が経過した。新たな交通政策をより良いものとして作り上げたい」とし積極的な議論を呼びかけました。
記念講演では、日本大学教授の桜井徹(交運研副会長)氏が「マルクスは交通をどう見たか」と題して講義。同教授は交通概念の今日的発展のために「ヒトとヒトとの関係としての交通の意味の再評価をするにもアソシエーション(共同)論として展開しなければならない」と指摘し、「側面((1)個人交通、(2)民営化と競争、(3)地球環境問題)の付加が必要ではないか」と問題提起しました。
老朽化した交通社会
資本と人口減少問題
関西大学教授の西村弘氏(同副会長)は「交通政策の提言2015にむけて」と題し政策提言を行う中で、「理念と制度の再構築が急務だがいくつもの難問が山積している、とくに老朽化した交通社会資本問題と『人口減少社会』問題がある」と指摘しました。
全体討論では各分野から発言があり、鉄道からは国労(東海エリア)の上野力氏がリニアについて「昨年委員会を発足し、リニアの必要性、安全制、経済性など提言に向け議論している。リニアはドイツも研究していたが止めている、JR東海が9兆円もかけて継続的に運営できるのか、経済効果だけがクローズアップされているが、国民的議論が十分されていない」と、問題点を指摘しました。
必要な規制求めるが
昔の規制主張しない
自交総連は本部の菊池書記次長が発言。同氏は「タクシーは規制強化の方向に進んできたがここに来て、内閣府・規制改革会議が特定地域の指定基準に対して意見したり、大阪の橋下市長によるタクシー自由化特区問題など、『規制緩和』への方向性が現実化している。自交総連は必要な規制を求めて行くが、昔の規制を主張するのでなく、乗務員の質の向上も担保する『タクシー運転免許法(国家資格)』の制定を目指している」と述べました。
26日は「国民生活と交通」「持続可能で安心・安全な交通」(=庭和田)「交通インフラ整備」「規制緩和と安全規制強化等のあり方」(=山本)の4分科会に分かれ議論し、それぞれの分科会から報告がありました。
政策づくりの着目点
時代の変化どう見る
まとめで関西大学教授の安部誠二教授(交運研前会長)は、「19世紀に人間の生活がものすごく変わった、電気もガスもない生活から1850年頃にはパリで上下水道施設が造られ、機械性工業や鉄道なども生まれた。今、鉄道とか、飛行機は制御できるようになり、自動車が難儀だが、5、6年で高速道路で自動運転が可能になるだろう、30年ぐらいしたら無人タクシーが生まれるのではないか、時代の変化をどう見ていくのか」と政策づくりに向けた着目点を示しました。
また、「来年は、福知山線脱線事故から10年、御巣鷹山事故から30年、阪神淡路大震災から20年の年、このときに新しい交通政策。これは研究論文ではなくて、提言の中に各産別からも意見を出してもらって良いものを作ってもらいたい」と期待感を示し、「来秋にロードプライシングや地下鉄、タクシー、港等シンガポールを調査してみてはどうか」と提起しました。
泉州交通圏 タクシー労働者置き去り 01年度比たった194円増で準特指定解除
2014/11/18
労働条件改善されない基準
国土交通省は10月31日、改正タクシー特措法の施行規定一部改正を告示。現行155地域の準特定地域のうち泉州交通圏など3地域を指定解除しました。これにより同交通圏では新規参入や増車が可能になり、運賃は公定幅運賃→自動認可運賃に、下限割れ運賃は個別審査による認可となります。
準特定地域の指定要件は(1)日車実車キロまたは日車営収が2001年度(規制緩和直前)と比較して減少していること、(2)前5年間の事故件数が毎年度増加していること、(3)前5年間の法令違反の件数が毎年増加していること─の(1)から(3)までのいずれかに該当していることとなっています。
泉州交通圏の場合、01年度→13年度の比較で日車営収が32077.16円→32271.53円、実車キロが93.9→96.8となったことから国交省は指定解除を判断したとのことですが、13年度の日車営収が01年度を上回った額はわずか194円にすぎません。
特措法の主旨守れ
01年度の賃金水準で特措法の目的は達成されたとでもいうのでしょうか。労働条件を改善して運転者の高齢化に歯止めをかけ、安心・安全を担保して公共交通としての役割を果たしていくためにできたのがタクシー特措法のはずです。
01年度の時点でもタクシーの年収は全産業平均より200万円以上も下回っていました。泉州交通圏の01年度の年収を前出の金額×12(乗務)×(賃率)0.6×12(ヶ月)で試算すると、277万1467円です。指定要件自体に問題があるのは明らかです。
規制改革会議の「意見書」や、橋下維新の「タクシー自由化特区」提案など時計の針を戻す動きが活発化している中、今回の国交省の判断には準特定地域のさらなる解除や、特定地域指定回避に向けた“解除のための解除”ではないかと疑わざるを得ません。
本流逆流(11月5日付コラムより)
2014/11/05
朝晩の寒気が強まり、もはや晩秋ともいえるこの時期になってもいまだに春闘未解決の労使がある。その職場では経営者が有休制度の改悪を突きつけてきた。有休手当を払い、なおかつ仮想営収をつけて足切りを下げるのは労働者の二重取りではないか、という問題提起だ。オール歩合における賃金とはあくまで実際の営収がベースであり、有休をとっても月給が下がらないのは固定給、という考え方に立つ。
こちら側の反論もいろいろあるが今後の交渉もあるのでここでは控える。そのかわりに“歩合制害悪論”を改めて展開してみる。近距離利用者が乗車の際に私たちに謝るのはなぜか。かつて中国の市場経済化を進めたケ小平は「白猫でも黒猫でもネズミを捕まえてくる猫が良い猫」と言ったものだが、公共交通事業者はこういう思想に染まってはいけない。
規制緩和のもとで事業者は野放図に増車し、1台あたりの営収が下がっても乗務員の取り分を下げることで生き延びてきた。扶養家族を抱えた乗務員は過労のリスクをかえりみず血眼(ちまなこ)になって“客”を探し回り、運転可能時間の延長を願う声も根強い。長時間・過重労働をしなければ生活できない現状は交通産業として破たんしている。
“がんばった者は報われるべき”という美徳は“賃金が低いのはあなたの努力が足りないから”という自己責任論にすり替えられる。努力さえすれば賃金は上がるというのであれば団結も運動も必要あるまい。労働者を労働者でなくする、それが歩合制の本質だ。
阪南大学准教授・下地真樹氏のツイートが頭から離れない。「労働者が労働運動するんじゃない。労働運動するから労働者なんだよ。労働運動しない労働者、そりゃあんた、奴隷の間違いでしょう」(昨年5月1日)。私たちは労働者だ。“水揚げ”の奴隷になってはならない。
交通政策闘争基金が第50回評議員会開く
2014/11/05
橋下市長辞職せよ
交通政策闘争基金(秋山民夫理事長=大阪地連委員長)は10月30日、第50回評議員会を自交会館で開き、理事・監事・評議員24人が出席(委任14人)。「2015年度事業活動計画案」など全議案を全会一致の賛成で可決しました。
あいさつを行なった秋山理事長は、橋下大阪市長が提案した「タクシー特区」について「運賃自由化などいったいどの事業者を想定しているのか、大阪のタクシーの現状認識を欠いた妄言」と批判。大阪市労組の組合事務所裁判で同市長が司法から断罪されたことなども挙げ、「大阪の都市格を上げる、というなら橋下氏が1日も早く辞職すべきだ」と強調しました。