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2016年11月の記事
討論まとめ(抜粋)・庭和田裕之書記長
2016/11/25
労働条件下げる運賃には反対
東京地連が11月1日に初乗り距離短縮運賃反対の決起集会とデモを行いました。大阪地連も労働条件・労働環境の悪化につながる運賃には反対します。大阪でも2014年2月に55遠割廃止や労働環境改善を求めて労働5団体が集会・デモを行ないましたが、東京のような動きがあれば同様の取り組みを他労組に呼びかけていくことも考えています。
運賃はどうあるべきか。タクシーの運賃は、経費を全部積み上げて一定の利潤を加える総括原価方式で算出します。我々が求めているのは安心安全を担保し、かつ利用者にわかりやすい運賃です。業界にはバラバラ運賃を是正し、公定幅運賃の上限に張りつくよう今後も訴えていきたいと思ってます。そして行政には、チケット手数料など乗務員負担の問題をどう考えているのかが問われます。利用者からお金をいただき、働いてる乗務員からもお金を徴収する、こんな二重取りは許されません。
沖縄に新たな白タク
沖縄県で事実上の白タク「ジャスタビ」(レンタカー利用者に観光運転者をマッチングするサービス。運転者は二種免許不要)が5月に事業を開始しています。これが全国の観光地に拡がっていくかもしれないという問題がライドシェアと並行して起こっています。
いま、乗務員数が大きく減少しているのに日車営収が微増にとどまっているのは、業界の総営収が下がっているということです。そこへライドシェアのみならずジャスタビのような業者が加わって利用者を奪っていくわけですから、今後いっそうの運動強化が求められます。
高度な資格制度創設を
トヨタと全タク連が自動運転に関する協業を合意しています。我々は自動運転を全部否定するつもりはありません。運転者の注意力が散漫な時に機械が補助するようなシステムなら理解できます。けれども東日本大震災の時にタクシーが唯一最後まで地域公共交通として動けたのは人が運転していたからなんです。果たして自動運転でそれができるのでしょうか。
また、全タク連は二種免許を18歳から取得可能にするよう求めています。人命を預かる職業のハードルを下げたらどうなるか、観光バスの事故を見れば明らかです。我々は絶対的に反対するとともに、もっと高度な「タクシー運転免許」制度を創設して安心安全を確保していくという方向性を、運動の柱として今後もがんばっていきたいと思います。
「改善基準」に踏み込め
バス乗務は多くの人命を預かる仕事です。子どもなら50人以上乗ることもあり、緊急時に運転者だけでそれだけの人数を待避させるのは困難です。私たちは保安要員の同乗義務づけを近畿運輸局・国土交通省に再三、訴えてきました。国交省はいつも何か“やってます”というポーズはとるんです。事業許可の更新制導入や欠格期間延長などを打ち出していますが、運転者の労働条件・労働環境に着目して、長時間・過労運転を防ぐ仕組みづくり、改善基準の改正・法制化に踏み込まなければ重大事故は今後も起こります。
最後に、執行部としては今年1年、ライドシェアの問題には絶対的に重きをおくということと、私たちの労働条件、労働環境に大きく関わってくる政治の問題、安倍政権や維新に対してはしっかりと対峙して、声をあげてたたかっていくということを申し上げて、まとめとします。
本流逆流(11月25日付コラムより)
2016/11/25
11月中旬を過ぎても夜の街はなかなか活気づかず、多くのなかまがイライラしながら乗務している。私も去年の売上手帳を見ながらなかまとぼやき、利用者との会話も12月中旬ぐらいまではこの話題があいさつ代りのようなものだ。いままで市民に向けて「タクシーの労働条件は劣悪」と訴えてきたが、最近ではいよいよ「生きていけない」と訴えなければいけない業種になってしまった。
そんな中、業界へ追い討ちをかけるように新経済連盟が推進するライドシェアの脅威を考えると、その地ならしとして国家戦略特区法を改正した政府与党に怒りを覚える。公共交通の安心・安全よりも、IT企業の金儲けに便宜を図ることのほうが重要なのか。
公共交通事業への参入ハードルを下げるのは、人命を守る規制を下げるに等しい。推進論者は「保険に入っているから安心」というが、事故は未然に防ぐべきものだ。
私たちの生活と産業を破壊する白タク合法化を何としても阻止し、100年以上続く安心・安全な日本のタクシーを私たちの手で守ろう。
交通運輸の労働条件改善求め「11・9中央行動」
2016/11/25
横断幕を掲げて白タク合法化や初乗り距離短縮運賃導入への反対をアピールする東京地連のなかまら(11月9日、東京・霞が関で)
行政の使命果たせ
自交総連本部は11月9日、交運共闘のなかまとともに「中央行動」を東京・霞が関を中心に展開。全体で800人、自交から430人が参加して個人誓願行動に取り組んだほか、国交省・厚労省との交渉を行いました。
行動に参加したなかまは国土交通省に「交通運輸の安全確保、労働者の労働条件改善を求める請願書」、厚生労働省に「交通運輸労働者の労働条件確保に関する請願書」を提出。請願事項のうち、タクシー・バス関係では国交省に「白タク行為であるライドシェアの合法化を認めないこと」「運転者の資質向上、利用者利便のため、タクシー運転免許の制定を検討すること」など6項目、厚労省には「自動車運転者の労務改善基準告示を(中略)抜本的に改正し、拘束時間の大幅短縮、休息期間の延長などを定めるとともに法制化してその実効確保をはかること」などを求めています。
安心・安全が最優先
午後からの国土交通省交渉では、ライドシェアについて「自家用車を用いた旅客運送を認めることは、安全確保、利用者保護等の観点から適切ではない」とする立場を堅持するよう組合側が求めたのに対し、省側は「安心・安全が最優先であり、事業者が運行に責任を負わず、運転者に責任を負わせるライドシェアのような形態の運行は認めることはできない」と応じました。
厚生労働省交渉では、組合側が「有休の取得を制限する使用者を指導し、自由に取得できる環境を整備する」よう求めたのに対し、省側は「事業の正常な運営を妨げる場合以外は有休は労働者が請求する時季に与えることが前提」「有休を指定したのに認められず賃金がカットされている場合、実態をふまえ、事業の正常な運営を妨げる場合でなければ対応する」としました。
大阪地連第71回定期大会 秋山民夫委員長あいさつ(抜粋)
2016/11/15
白タク問題は安倍政権との闘い
タクシー産業は長年の労働条件悪化の結果として労働者の高齢化が進み、疲弊しきっています。2002年の規制緩和以降、悪化した労働条件を改善するため09年に適正化活性化特措法、14年には改正特措法が施行されましたが目的は達成できていません。
大阪市域では地域協議会の適正化小委員会が、適正車両数上限との乖離率・12%を預かり休車で是正する方向性を打ち出していますが、稼働率が70%を切る現状で車庫に眠っている車を少し減らすだけでは労働条件改善は期待できません。
大阪では長年、運賃改定も行われず、逆に公定幅運賃の下限が中型車で660円から640円に下げられているのが現状です。
危機意識低い大阪業界
そうした中で、タクシー産業そのものを根底から壊す白タク合法化問題が持ち上がっています。安倍政権はシェアリングエコノミーを是とした上で民泊などを先駆けに、ライドシェアの解禁に向けて突き進んでいます。いまのところ国交省は「安全性が担保できないものは認められない」という姿勢ですが、安倍政権の意向を受けて国交省に方針を変えさせようとする動きもあります。
しかし大阪の業界は危機意識が非常に低く、反対運動が盛り上がりません。大阪地連は毎月、主要ターミナルなどで宣伝行動に取り組んでいますが、市民や待機中の乗務員には白タクの危険性が伝わりきっていません。白タク合法化阻止のたたかいは、小泉政権時の規制緩和攻撃と同様、安倍政権とのたたかいであるという認識をしっかりと持ち、運動を強めていかなければなりません。
「改善基準」積み残し
観光バスでは軽井沢スキーバス事故を受けて参入チェックを厳しくしたり、抜き打ちの立ち入り検査など、監査強化を図っていますが、根本問題である「改善基準」告示の改定と法制化が積み残されています。
最後になりますが、私たちの運動の前進には組織の強化拡大が不可欠です。労働組合のある職場と、ない職場では労働環境に雲泥の差があり、後者には不満と要求が山積しています。宣伝と対話活動を中心になかまを拡げていこうではありませんか。
自交労働者の賃金・労働条件の向上と、公共交通機関としての安心・安全を掲げ、執行部が先頭に立ち、皆さんと共に奮闘していく決意です。
大阪地連 第71回定期大会 世論動かす大運動を
2016/11/15
タクシー産業の存亡かかる2017年、問われる業界の危機意識
自交総連大阪地連は11月8〜9日、第71回定期大会を大阪府池田市内で開き、「白タク・ライドシェア合法化阻止」「安倍暴走政権や維新型政治の一掃」を柱とする2017年度運動方針案など、すべての議案を全会一致の賛成で採択しました。また秋山民夫委員長が今大会で勇退し、新たに福井勇委員長を始めとする新執行部(任期2年)を選出しました。
8日にあいさつを行なった秋山委員長は、タクシー産業そのものを破壊する白タク合法化の危機が迫る中で「大阪の業界は危機意識が低い」と指摘。規制緩和が小泉政権によって進められたのを念頭に「白タク合法化阻止のたたかいは、安倍政権とのたたかい」として運動の強化、政治闘争の必要性を強調しました。
自交総連本部の菊池和彦書記次長は来賓あいさつで、「情勢は予断を許さない。ライドシェア推進勢力は着々と動きを強めている」「規制緩和の時と同じく政治が白タク解禁を決めてしまえば国交省が抵抗するすべはない」と警鐘を鳴らし、「解禁に進まないように監視して、世論を構築していくことが大変重要」と訴えました。
議案提案を行なった庭和田書記長は、8月5日に労使共同で取り組んだ白タク阻止宣伝を振り返り、「規模が小さいことに落胆した。大阪タクシー協会には“自分たちの職場もなくなる”という危機意識に基づいた運動を繰り広げてほしい」と強く呼びかけました。
適正化減休車 預かり休車12%プラスαを
2016/11/08
12月2日に大阪市域交通圏の特定地域協議会が開かれます。9月21日に開かれた同協議会・適正化小委員会は、近畿運輸局が示した適正車両数上限との乖離(かいり)率・12%を『預かり休車』制度を活用して是正することを地域計画作成の方向性として決めましたが、12月の会合ではその承認の可否を決めます。
すでにワンコイン協会は反対の意向を示し、MKタクシーは「協力する」との発言はあるものの確定的な態度は保留しています。また、下限割れを採用している事業者は裁判も辞さない構えですが、府下で圧倒的シェアの大阪タクシー協会は12%削減プラスα(恒久減車)を加盟事業者に求める意向を表明しています。
中古車1台の経費が55〜65万円かかるタクシーの固定経費を、特例で削減できる「預かり休車」制度に反対する事業者の判断は労働組合として理解できません。現在稼働している車両数の削減まで踏み込まなければ目に見えた労働条件の改善は見込めません。まず制度を使って12%削減し、各社の実働に比して恒久減車にも踏み込み収益を改善すべきです。
公定幅運賃20円引き下げ 経営者は行政の愚策に動じるな
2016/11/08
繰り返すな運賃戦争
各運輸局は10月21日までに、7つの交通圏で公定幅運賃の下限の引き下げを公示しました。公定幅運賃は改正タクシー特定地域特措法で導入され、特定・準特定地域で適用されます。
公定幅運賃は、初乗運賃が上限〜下限の間で10円刻みで決まっていて、事業者はその範囲内で運賃を決めなければならず、下限を下回る場合には改善命令が出されることになっています。ところが、下限割れの事業者から「値上げを強制するものだ」などとして裁判が起こされ、各地の裁判所で、下限の決め方に不合理があり、違法との国側敗訴の判決が相次ぎました。
このため国土交通省では6月、下限を決める際には下限割れで営業している事業者の実績も含めて計算するとの通達を出し、実際に下限割れ事業者が営業している地域については下限を見直すこととしました。
対象となったのは、札幌など11の地域で、そのうち下表の7つの地域で下限が引き下げられました。7つ以外の愛知・知多、滋賀・湖南交通圏は、再計算しても下限は据え置き、愛知・名古屋と福岡・福岡交通圏は、運賃改定の申請が出されていて改定見込みのため、その際に設定されることになります。
大阪の中型10種類
運賃が可能になる
公示がされた地域のうち青森と大阪市域交通圏については初乗距離短縮の運賃も合わせて公示。公定幅運賃を決める際には、地域協議会の意見を聞くことになっていますが、その際に地域協議会から初乗距離短縮運賃設定の意見が出された場合に設定されることになっています。事業者は基本運賃でも初乗距離短縮運賃でもどちらも選べます。
すでに新運賃が適用されている青森の場合、小型車の初乗で基本の運賃が660円から580円まで9種類、それぞれに初乗距離短縮の運賃が設定され、計18種類もの運賃設定が可能となるなか、新下限の初乗距離短縮を選択する事業者がいて、実際に値下げ競争が発生しています。
規制緩和以降、増車や運賃戦争が繰り広げられた大阪の惨憺(さんたん)たる現状を見たとき、経営者側がいう「人手不足」による稼働率(70%切る)の低下は、労務倒産など経営の根幹を揺るがす問題になっています。
これまでMKタクシーやワンコイングループなどが下限割れで営業を続けてきましたが、今回の幅運賃・下限が20円引き下げられたことで、中型で10種類の運賃が可能になります。
経営者は行政の愚策に振り回されることなく無益な運賃戦争を絶対に避けるべきです。労働者の待遇改善や利用者にも分かりやすい運賃に統一すべきです。