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2020年11月の記事
〈大阪地連第75回定期大会〉書面で開催、21年度運動方針決定
2020/11/25
あいさつする福井委員長(右)と大会議長を務める運天氏(11月17日、自交会館で)
団結の力で危機突破
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は11月17日、第75回定期大会を自交会館(大阪市浪速区)で書面開催し、「社会的水準の労働条件確立への接近」「白タク合法化阻止、規制強化」「コロナ危機打開、憲法改悪阻止」「組織強化拡大」を柱とする2021年度運動方針など、提案された議案すべてを全会一致の賛成で可決しました。
今大会は新型コロナウイルス感染から組合員や関係者を守るため、事前に各単組に送った議決票の返送確認をもって大会出席とする書面開催となりました。1単組に1議決権、組合費3か月未納単組の議決権は認めないとすることを第2回執行委員会(11月5日)で確認しています。
今回書面で提案された議案は、2020年度運動総括、2021年度運動方針など議案1〜6号と、役員改選案、大会議長案。
議決権を有する26単組中25単組から返送があり、すべて「賛成」でした。
廃業・身売りに警戒
減車措置求めていく
大会当日は、福井委員長はじめ吉田栄二副委員長、庭和田裕之書記長、荒木正人・松原伸一両常任執行委員と、南西地協から大会議長に推薦された運天武史氏(国際タクシー労組副委員長)が会場出席。25議決票の「賛成」および運天氏以外の会場出席者の承認を受けて運天氏が大会議長に就任しました。
議長はまず、執行委員9人中9人の出席(委任4)と、25単組から議決票が届いたことを確認し、大会成立を宣言。続けて25議決票がすべて「賛成」であることを改めて確認し、全議案が全会一致の賛成で成立したことを宣言しました。
21年度運動方針では、「コロナ危機による倒産や廃業・身売りへの警戒心をつよめ、情報を収集して、対策を講じる」「適切な需給調整、減車措置をとくに求めていく」「白タク合法化阻止と公共交通を守り充実させるとりくみを一体としてすすめていく」などとしています。また、今大会は役員改選期にあたりますが改選は行わず、次期大会まで執行部任期を延長します。
大会あいさつを行なった福井委員長は「事業者には雇用調整助成金を活用した計画休業の延長実施を、政府には雇調金の特例をコロナ終息まで延長するよう求めていく。しっかり団結してコロナ危機を乗り越えよう」と呼びかけました。
自交本部「11・5中央行動」で要請
2020/11/19
団結ガンバロー三唱で気勢を上げる交運共闘のなかま(11月5日、東京・霞ヶ関の国土交通省前で)
産業崩壊防ぐ支援を
自交総連本部(高城政利委員長)は11月5日、国民本位の交通政策実現、規制緩和反対、交通運輸労働者の労働条件改善を求める「11・5中央行動」を東京都内で交運共闘のなかまとともに取り組みました。国土交通省、厚生労働省、経済産業省への請願署名を提出したほか、自交総連の代表が国交省・厚労省・内閣府に要請・交渉を行いました。
「中央行動」は全労連の秋闘統一行動の一環として毎年取り組まれ、例年は全国の交通運輸の仲間が集まりますが、今年はコロナ感染防止のため本部を中心に自交総連からは9人、全体で35人が参加。10時から霞ヶ関の国交省前で行動を開始し、同省に「交通運輸の安全確保、労働者の労働条件改善を求める請願書」(自交全国計4033通、関西地連=353通)、厚労省に「交通運輸労働者等の労働条件確保に関する請願書」(全国3986通、関西322通)、経産省に「国民の安心・安全確保に反する規制緩和推進政策の中止を求める請願書」(全国3990通、関西348通)を提出しました。
国交省交渉
白タク認めるな
附帯決議を守れ
午後から自交本部の高城委員長、庭和田・舞弓副委員長、菊池書記長ら14人は、日本共産党・武田良介参議院議員(国土交通委員)とともに参院議員会館で国交省、厚労省、内閣府の順に交渉を行いました。
国交省交渉では同省から自動車局旅客課・土肥祐二タクシー事業活性化調整官、宮屋敷繁行専門官、安全政策課・田村圭課長補佐ら5人が出席しました。
組合側の要請の柱は、「新型コロナウイルス対策」「需給調整」「ライドシェア阻止、規制緩和問題」。コロナ禍対策では「運転者の感染防止」「臨時休車措置の延長」「事業者と労働者に対する直接的な金銭面での支援策」などを要請。「需給調整」については「臨時休車・計画休業で需給バランスが一時的、部分的に回復したところがあるが、需要が回復しないまま、これを元に戻せば著しい供給過剰を招く」と指摘しました。
さらに組合側は「政府がすすめる“デジタル化の促進”には、ライドシェアが含まれないことを明確に表明し、わが国ではライドシェアが認められないとの立場を堅持すること」や、「自家用有償旅客運送を安易に拡大せず、『タクシーの経営を圧迫しない』『ライドシェアは導入を認めない』との国会附帯決議を遵守すること」などを要請。省側はライドシェアについて「事業者が運行管理の責任を負わず、運転者のみに管理の責任を負わせるもので問題がある。デジタル化に関わらず認めるわけにはいかない」、自家用有償について「附帯決議を遵守していく」と明言しました。
内閣府交渉
白タク実証実験
「国交省が判断」
内閣府からは、規制改革推進室・中村孝之参事官補佐、地方創生推進事務局・佐藤満美子参事官補佐ら3人が出席。
組合側はMaaS※推進の法整備について「旅行業の新類型に白タク・ライドシェアを含めないこと」、国家戦略特区で「白タク・ライドシェアを組み込む実証実験等を推進しないこと」、自家用有償運送について「無限定に拡大をすすめないこと」など白タク合法化阻止に向けた要請を行なったほか、自動運転については「バス・タクシーでは運転資格のある者の乗務を義務付けること」などを要請しました。
組合側は「のってこ」「CREW(クルー)」「ジャスタビ」のような「白タク行為を拡大する提言を規制改革推進会議で行わないこと」も要請しましたが、内閣府側はこれらについて「最終的には制度を所管する国交省が判断した」と述べたほか、「実証実験は、規制所管大臣が許諾を判断する。国交省が安全性を十分に検討することになる」との認識を示しました。
※MaaS(マース)=モビリティ・アズ・ア・サービスの略で、さまざまな形態の輸送サービスをICT(情報通信技術)で統合するという概念。1つのアプリで鉄道やバス・タクシー、カーシェアなど各交通サービスの経路検索や支払いを一括でできるようにする。
自交総連本部・雇用調整助成金の平均賃金算出を質す
2020/11/19
厚生労働省「最賃違反認められない」
自交総連本部(高城政利委員長)が11月5日に東京都内で取り組んだ「11・5中央行動」の厚生労働省交渉で、組合側は「新型コロナウイルス対策」として「解雇や雇止め、雇用形態変更などを阻止するため全力を挙げること」「最低賃金法違反是正のための監督強化」などを要請。悪質事業者への指導を徹底するよう求めました。
厚労省交渉には、自交本部の高城委員長、庭和田・舞弓副委員長、菊池書記長ら14人と、日本共産党の武田良介参院議員他秘書2人が出席し、厚労省側は、職業安定局雇用開発企画課・大橋泰之課長補佐、健康局結核感染症課・佐藤和哉企画法令係員、労基局監督課・多賀谷千尋係長、労働関係法課・入澤優政策係長ら6人が応対しました。
雇用を守るため現状の雇用調整助成金の延長を求める組合側に対し、省側は「バスやタクシーのヒアリングも行い、厳しい状況は理解している。特例措置は12月末まで延長することを8月の末に決めたが、その際に、雇用情勢が悪化するなど特段の事情がない限りは段階的に通常の措置に戻すなど見直しをしていくことを決めた。今後、適切に判断していくが、延長や上限額、支給率など11月末をめどに発表する」と回答。
庭和田副委員長は、「雇調金を申請する平均賃金は当然最低賃金を下回らないことだと大阪労働局にも確認し理解しているが、京都では一部の事業者が最低賃金を下回るものを平均賃金としている。これは違法だが、厚労省の見解を明らかにしていただきたい」と求めました。
省側は「最低賃金を下回る場合は当然、“改善をしなければいけない”と事業者に言うが、迅速給付のため、そこの確認を後回しにして、とりあえず給付するということになっているのだと思う。京都の局にも確認したい。最賃違反はもちろん認められない」と回答。同副委員長が「最賃を下回る場合の平均賃金の算出は、最賃を加味して計算すべきだということですね」と確認すると、省側は「間違いないです」と回答しました。
自交総連本部 全タク連交渉で要請
2020/11/05
全タク連・武居副会長(右)に要請書を渡す自交本部・高城委員長(10月12日)
乗務員の命とくらし守れ
白タク阻止と需給調整を
自交総連本部は10月12日、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連、川鍋一朗会長)への要請に取り組みました。同会側は、コロナ禍での最低賃金の支払いについては全国的に徹底したいと答えました。
自交本部から高城政利委員長、舞弓義隆副委員長、菊池和彦書記長ら5人が全タク連(東京都千代田区)に赴き、同会側は武居利春副会長(労務委員長)、神谷俊広理事長ら7人が応対しました。
組合側が今回要請したのは、「コロナ禍対策」「需給調整」「白タク合法化阻止」の3項目。
「コロナ禍対策」では、「乗務員の感染防止対策強化」を筆頭に、公共交通機関の責務として「安心して利用できる体制の構築」「運転者のPCR検査・抗体検査が速やかに実施できるよう国や自治体に要請すること」、労働者の生活を守るために「雇用調整助成金(雇調金)を活用した計画休業の延長実施」、「労働者個人による国への休業支援金請求に協力(休業指示の確認など)するよう事業者に徹底すること」などを要請。さらに使用者の責務として最低賃金法の遵守を徹底するよう求めました。
「最賃法遵守徹底図る」
「竹中平蔵氏に要注意」
全タク連側は、「コロナ禍対策」について、「PCR検査の拡充は、要請はしているが国の動きは鈍い」「雇調金は延長するよう厚労省に要望書を出して、ヒアリングを受けた。1日の上限を8330円に戻すという話もあるが、戻したら利用する会社が少なくなり、雇用が維持できない」などと話し、「最低賃金法の遵守」については「全国を回って徹底を図りたい」と明言しました。
「需給調整」については「(実情を)各ブロックで聞いてきたいが、全タク連として減車をやってくれとは言えないので、労働組合でがんばってほしい」「会社を維持することに不安感を持っていて、来年からバタバタつぶれかねない中で減車について協議するのは難しい」と慎重な姿勢でした。
「白タク合法化阻止」については「危機感を持っている。労使一緒にやりたい」と応じ、「菅首相のブレーン・竹中平蔵氏がスーパーシティ構想で(ライドシェアへの)穴を開けようと狙っている。要注意だと会長からも(与党に)要望している」と話しました。
コロナ禍利用する白タク推進派たち
2020/11/05
政府の「国家戦略特区諮問会議」は10月22日に菅首相も出席して会議をひらき、同特区基本方針の一部変更などを決めました。
新たに目標に追加されたのは、「新型コロナウイルス感染症に対応した『新たな生活様式』を実現するための規制改革の推進」「新たな国家戦略特区制度の積極的な活用として、スーパーシティ構想の実現」「地域限定型“規制のサンドボックス”制度の活用」などです。
会議では、竹中平蔵氏、八田達夫氏ら民間議員5氏が連名で意見書を提出。スーパーシティ推進のスピードを上げるべきとし、特区で実施した規制改革の全国展開を規制改革推進会議とも連携して、強力に推進すべきである、としました。
菅首相は「(自治体に)大胆な規制改革を盛り込んだ野心的な計画をまとめていただき、スーパーシティに積極的に応募していただくことに期待している」と述べました。
スーパーシティ構想に自治体を立候補させ、規制緩和の実験場にしていこうという狙いで、ライドシェアを含んだ構想で立候補する自治体が現れかねません。基本方針にはスーパーシティの「基本構想の作成に当たっての住民等の意向の反映」が必要とも書かれており、大津市の例にならって、住民の世論に働きかける宣伝がますます重要となってきます。
大津市が白タク特区提案取り下げ
2020/11/05
大津市の担当者(右)に要請書を提出する自交関西ブロック(現関西地連)の要請団(18年5月16日)
要請・交渉、全戸ビラ配布、駅頭宣伝
自交関西2年半の運動が結実
滋賀県大津市が、越(こし)直美前市長時代に提案していた自家用ライドシェアを含む国家戦略特区構想を取り下げたことが分かりました。県タクシー協会の田畑会長らが10月19日に佐藤健司市長と面談して、市長から説明されました。複数の業界紙が伝えています。
大津市は越市長時代の2018年2月、内閣府に対し国家戦略特区提案を行い、その中で「自家用自動車の活用」(道路運送法の規制を緩和して、観光客を対象とした自家用有償運送を導入、民間事業者による乗車マッチングシステムの活用を検討)を求めていました。
危険なライドシェアにつながる提案に対し、自交総連関西ブロック(現関西地連)では2018年以来、組合員が何度も現地に出向いて、駅頭での宣伝、地域への全戸ビラ配布、市長・市議会への申し入れ、滋賀県タクシー協会や大津市職員労働組合連合会との懇談など反対運動に取り組んできました。市民宣伝では、ライドシェアの危険性とタクシーを活用した地域公共交通の充実をくりかえし訴えて、反響を呼びました。
こうした運動もあって、越市長は今年1月の市長選挙への立候補を断念。当選した佐藤市長は、コロナ対策の臨時タクシー利用券の交付や助成金の支給などタクシーを組み込んだ地域公共交通政策にかじを切り替えています。
国が、地方自治体に国家戦略特区に立候補するように勧めているなかで、自治体が無謀なライドシェア特区などに手を上げないようにする対応の重要性が改めて明らかになりました。
関西地連の庭和田書記長は「暑い時も寒いときも地道な宣伝行動や各戸ビラに奮闘した組合員の一人ひとりの顔が浮かびます。運動の成果が結実したことを共に喜び白タク・ライドシェア合法化阻止に今後も奮闘する」とコメントしました。