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2023年11月の記事
本部第46回定期大会
2023/11/10
大会会場で「ライドシェアの解禁は許さない」と拳を突き上げ団結するなかま(18日午前、全労連会館で)
業界の命運分ける闘い
全力でライドシェア解禁阻止へ
自交総連(庭和田裕之中央執行委員長)は10月17〜18日、東京・全労連会館で、「ライドシェア解禁阻止、地域公共交通を守ろう」をスローガンに第46回定期大会をZOOM併用で開催。執行部が提案した議案は原案通り全会一致で採択され「大会宣言」と「ライドシェアの解禁を阻止する特別決議」を確認し、組織を上げて全力でライドシェア解禁を阻止する闘争の強化を決定しました。
失政のツケを我々に
庭和田委員長はあいさつで、タクシー業界で起きているライドシェア解禁問題に対して、事業者も労働団体もアクションが遅すぎると指摘し、「そんな中で声を上げているのが自交総連だ」と主張しました。そして、10月10日に急きょ実施した神奈川県庁前の抗議宣伝行動に言及し、『神奈川版ライドシェア』を撤回せよと要請書を手渡したとし、直後の黒岩県知事の記者会見で、「全国の労働組合から反対の声が上がっている」と言わせるなど大きな反響を呼んだと語りました。さらに、「規制緩和推進論者はタクシー業界や観光バス業界の苦しい惨状をライドシェア解禁の動機としているが、それを招いたのは他ならぬ彼らである。その失政のツケをまた我々に払わせようとしている」と痛烈に批判しました。
利用者への働きかけを
その上で、今タクシーを使ってくれている利用者に私たちの主張を浸透させ支援を得るという課題を、自交総連のみならず自交産業全体でとりくむことができるかどうかがこの先の命運を分けると強調しました。
来賓として、全労連の小畑雅子議長、交運共闘の山崎正人副議長、顧問弁護団の菅俊治弁護士と中村優介弁護士、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が会場へ駆けつけ、激励のあいさつをしました。
討論では10地方13人が発言し、城書記長が「秋季年末闘争を皮切りに、毎月第一週に『ライドシェア解禁阻止』の宣伝行動を全国各地で実施し、ライドシェアの危険性を利用者、国民に訴え理解を求めるとりくみを進めていく」などと執行部答弁を行いました。
その後の議案採択で、23年度運動方針や大会宣言、ライドシェアの解禁を阻止する特別決議を満場一致で決定しました。
タクシー産業の分岐点
2023/11/10
推進派、安心・安全より経済優先
岸田文雄首相は10月23日、召集された臨時国会で所信表明演説(=写真)を行い、その中で、『デジタル行財政改革』として「子育て、教育、介護などの分野でのデジタル技術の活用を、利用者起点で進める」とし、「地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題にとりくむ」と述べ、自ら現場で奮闘する各分野の方々の生の声を聞きにいくと視察の意向を示しました。
解禁議論さらに加速か
今年8月には、菅義偉前首相が「労働者不足」や「色んな観光地で悲鳴が上がっている」などと発言し、「タクシー不足」解決に向けたライドシェア解禁議論に口火を切りました。その発言に呼応し、河野太郎デジタル相や小泉進二郎元環境相、黒岩祐治知事など神奈川県選出の政治家がいっせいにライドシェア導入を喧伝しています。
吉村大阪府知事も
ライドシェアに言及
そして、10月17日には、吉村洋文知事が大阪府議会で、2025大阪・関西万博に向け来年秋から閉幕時までの「期間限定」で、「ライドシェアを実現させるためプロジェクトチームを来月にも発足させる」と表明しています。
申し合わせたように推進派が全国各地で「ライドシェアの解禁」に言及し、放送局の一部番組では推進派、慎重派の意見を両論で放送するところもありますが、大半のマスコミは推進派に歩調を合わせ、「ライドシェアは便利で安全、タクシーより運賃が安い」などと実態を検証しないまま偏向報道を続けています。
こうした動きの中で、岸田首相が所信表明演説でライドシェアに言及したことにより、さらに解禁議論が加速していくことは間違いありません。
労働者は置き去り
同じ過ち繰り返すな
タクシー産業にとって、今年の臨時国会と来年の通常国会が事実上の分岐点となることが確実です。自交総連は、「タクシー不足」を口実に白タク・ライドシェア解禁への道が開かれようとしていることに強い危機感を抱いており、断固反対の運動を進めていきます。
安心・安全な地域公共交通としてのタクシーと、それを担う労働者の雇用とくらしを守るために、ライドシェアの危険性をつまびらかに伝えて、国民と利用者を巻き込んだ幅広い闘争の強化を行わなければなりません。
ライドシェア推進派は安心・安全より経済を最優先し、この機に一気呵成に白タクを国内全域で解禁するつもりです。
看過していればタクシーの規制緩和が行われた02年当時と同じように、タクシー労働者は置き去りにされ、失政のツケを労働者と利用者が払うことになります。同じ過ちを繰り返してはなりません。
自交総連本部 神奈川版ライドシェアに抗議
2023/11/10
「黒岩知事、県民を危険にさらすな」
10月10日正午、自交総連本部はライドシェア導入の検討を指示した黒岩祐治神奈川県知事に対し、101人のなかまが県庁の南北の出入り口に分かれ、抗議宣伝行動を実施。各弁士がマイクで訴えるなか、参加者らは本部で作成した「ライドシェア反対」のタオルを掲げ、通行人にアピール(=写真)しました。
抗議宣伝行動で庭和田委員長は、「先の知事選では不倫問題で逃げ回っていた黒岩知事は、今回のライドシェアでは饒舌だ。ライドシェアが導入された国では殺人や性的暴行などで女性や高齢者などが被害に遭い、規制を強めたり禁止しているのが世界の流れだ。黒岩知事は被害者やその家族の痛みがわからないのではないか。そもそも女性の人権や尊厳を軽んじているから白タクの導入を指示できるのだ」と指弾しました。
つづけて「神奈川版ライドシェアといっているが、自家用有償旅客運送で可能ことを、なぜライドシェアにこだわりやろうとするのか。推進派は観光地でタクシーが不足していると喧伝するが、オーバーツーリズムの対処など、どの産業でも対応仕切れない。そうならないように、国が解決策を考えなければならない問題でライドシェアでは解決しない」と強調しました。
神奈川地本の冨松委員長は「米国ではライドシェアの拡大によってタクシー会社もつぶれた。障がい者が乗車拒否される事案も起き、一度導入すれば元には戻れないし、地域公共交通が破壊されることになる」と訴えました。
神奈川労連の山田事務局長は「コロナ禍でも『神奈川モデル』と銘打ち失敗を繰り返した。市民を守るため解禁阻止にむけてともにたたかう」と激励しました。
横浜合同法律事務所の高橋由美弁護士は、「諸外国で事件が多発するライドシェアを神奈川に導入されれば人権が侵害される、主権者として知事に県民の安全を守らせよう」と訴えました。
神奈川県議会の木佐木議員は、「議会の中でライドシェア導入をさせないよう奮闘し、地域公共交通としてのタクシーを守っていく」と力強く訴えました。
参加者は「ライドシェアが導入されたらタクシーはなくなってしまう。知事には安心・安全な地域公共交通を維持する政策を求めていく」と感想を寄せています。