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2008年12月の記事
国土交通省 交政審タクシー問題ワーキンググループ審議終了
2008/12/15
悪化の変質視野に法案作成を
交通政策審議会(国土交通相の諮問機関)の『タクシー事業の諸問題に関する検討ワーキンググループ』(WG・委員長=山内弘隆一橋大大学院商学研究科長)は12月5日の第13回会合で「過剰な輸送力の増加」や「過度な運賃競争」への対策を盛り込んだ答申案を了承し、審議を終了しました。国交省は答申を受け、来年の通常国会で必要な法改正などを行う見込みです。
昨年の東京地区運賃改定の際に、内閣府の「物価安定政策会議」などからタクシー事業のあり方に問題提起がなされたことを契機として、国土交通大臣から「タクシー事業を巡る諸問題」について諮問を受けた交政審はWG(有識者、消費者団体、事業者団体、労組の代表などで構成)を設置。今年2月から審議を重ね、対応策を検討してきました。自交本部の今村書記長も委員の一人です。
答申案は、供給過剰が「タクシーを巡る様々な問題の背景に存在する根本的な問題」としながらも、「自由な営業活動や競争の中から事業者の創意工夫が促され、それが消費者利益の増進につながり得ることにも留意する必要がある」と指摘。「必要とされる取組みを…必要とされる期間に限って…(供給過剰が)深刻化している地域に限って行うことが適当」として「特定地域指定制度」(下表)の創設を打ち出しました。
「特定地域」では多様な関係者が参画する協議体を設置し、「タクシー維持・活性化総合計画」を作成、総合的・一体的な取組みで問題の深刻化に歯止めをかけ、その改善を図る、としています。
具体的な取組みとして、「事業の協業化や企業の合併、事業の譲渡譲受などの推進」「事業者への監査や新規参入及び増車審査の厳格化」「悪質な法令違反を行なった事業者、運転者に対する厳格な行政処分」「複数の事業者が共同で減車を進めることについて…自主的、協調的な取組みが推進されるスキーム(枠組み)の導入」「減車を行う事業者への一定のインセンティブ(見返り)付与」などを挙げています。
しかし、「運輸行政による総量規制」や「協調的減車に対する独占禁止法の適用除外」については、国が事業者に減車を命じるのは「事業者の財産的価値や営業上の権利を侵害すること等の問題がある」としたほか、独禁法の適用除外も「近年の…競争政策の趨勢(すうせい)の中で、タクシー事業のみに新たにそのような制度を設けることには、十分な理解が得られていない」として、否定的な内容にとどまりました。
業界紙によると、WGでも労働側委員を中心に、同案の実効性を疑問視する意見が相次いだといいます。
○特定の地域において、一定の期間に必要な総合的な取組みを行う地域指定制度(特定地域指定制度)の創設が必要。
○地域指定は、国が、一定の客観的な指標に基づき行うことが適当。
○現行の緊急調整措置は、特定地域指定制度とは目的を異にするものとして、引き続き存置すべき。
○特定地域指定制度は、当該地域におけるタクシーの維持・活性化のための様々な取組みに関する総合的な計画(タクシー維持・活性化総合計画)を作成し、当該計画に基づく総合的、一体的な取組みが可能な制度とすべき。
○このため、計画の作成や実施を図るための地域の関係者による協議体を設置すべき。
○供給抑制に関し、タクシー維持・活性化総合計画が実施されている期間に限り、新規参入及び増車について、他の地域に比べ、許可等の基準・要件及びその審査を厳格化すべき。
○複数の事業者が共同で減車を進めることについて、供給過剰地域対策としての要請と競争政策との調和を図りつつ、その自主的、協調的な取組みが推進されるスキームを導入すべき。
(答申案概要より抜粋)
交政審タクシー問題WG答申案
2008/12/15
下限割れ事業者の実態 行政は直視せよ
5日の交政審・タクシー問題ワーキンググループ(WG)で了承された答申案は、現在の自動認可運賃制度について「基本的に妥当であり、これを継続すべき」とし、同一地域同一運賃の制度化については「他の事業者より安い運賃で、かつ適正に事業を行っている者に対し、運賃を上げるよう強制することは、法的に困難であり、利用者の理解も得難い」と否定的姿勢を明記しました。
また下限割れ運賃についても、「適正な経営が行われているとすれば、一律に利用者に不利益をもたらすものとしてこれを禁じることは難しい」と、まるで「規制改革会議」の意を汲み、あえて「名義貸し」事業者の横行などの現実から目をそらしたかのような記述が目立ちます。
とはいえ同案では、「(下限割れ運賃については)労働条件の更なる悪化、事業の収益基盤の著しい悪化や、不当な競争を引き起こすおそれがあることが指摘されている」として、下限割れ事業者の経営実態を詳細に把握する必要性を指摘。
さらに下限割れ運賃の審査時については、どのような場合に道路運送法の不当競争防止規定に抵触するのかガイドラインなどの形で明確化したうえで、適否を判断する必要がある、としました。
(1)運賃制度の基本的あり方
@基本認識
・利用者利益の保護のため、運賃の上限に関する規制が必要
・低額運賃に対しては、適切なチェックを行うことが必要
・運賃改定手続については、透明性の確保に努めることが必要
・運賃に係る利用者の選択性の向上を図ることが重要
A運賃決定方式について
・適正実車率のような概念で、効率的な車両運用を促す方向で査定方法を見直すべき
・適正人件費のような概念で、労働条件改善を促すための人件費の査定を行うべき
(2)過度の運賃競争への対策
・下限運賃の設定や下限割れ運賃の審査に関する道路運送法の不当競争の防止に係る規定の考え方についてガイドライン等による明確化が必要(答申案概要より抜粋)
【第一交通闘争】大争共・大阪労連 争議支援総行動
2008/12/05
「三井住友銀行は不法企業・第一交通に融資をするな!」とシュプレヒコールするなかま(11月27日)
「第一交通の不法性は認識」
三井住友銀行が要請団に発言
大争共(大阪争議団共闘会議)と大阪労連は11月27日、争議支援総行動に終日取り組み、第一交通産業の背景資本である三井住友銀行や、さまざまな不当労働行為・人権蹂躙(じゅうりん)で労働者を苦しめている府内の各使用者に対する抗議・要請行動に取り組みました。
裁判所前・淀屋橋・肥後橋での早朝宣伝には計120人が参加し、ビラとマイクで市民に支援を訴えました。
宣伝終了後、三井住友銀行大阪本店前での出発集会には200人が参加。
大阪労連の川辺議長は、第一交通闘争支援共闘会議議長に就任することを報告したうえで「背景資本としての銀行の公的責務は非常に大きい。第一交通闘争の早期解決を私のひとつの大きな課題としてがんばりたい」と決意を述べました。
佐野南海交通労組の堀川委員長は、第一交通産業が組合員にペーパー会社への出向を一方的に命令し、「団交で出向要件を話し合わない限り出向できない」とする組合側に対して団交を拒否したまま「不就労」を理由に賃金をストップ、現在は地裁堺支部で争っている問題で、「裁判所から私たちの就労を前提にした和解案が出ましたが、第一側は誠意をもって合議を進めようとしません。融資や役員派遣で深い関係にある三井住友銀行は、和解案に沿って誠実に話し合うよう第一側に促すべきです」と強調し、なかまにさらなる支援を訴えました。
要請団報告では、応対した同銀お客さま相談室の坂本室長代理は、「第一交通が不法行為を続けている企業だということは認識しています」と、答える一方で「現在の融資はコマーシャルベースなので…」と困惑した表情を見せ議論がかみ合いませんでした。要請団は「社会的責任が問われる銀行が不法企業を支援する形なのが解らないのですか」と正し、経営陣に根本から考えるよう求めました。
再規制阻止に手段選ばぬMK
2008/12/05
リース制で乗務員から経費と利益を先取りしたうえで、価格破壊と増車を繰り返すMKグループは再規制阻止に躍起です。11日には54万人分の再規制反対署名を国交省に提出しましたが、その実態を告発する手記が、最近まで MKで勤務していたなかまから編集部に届きました。全文を紹介します。
私は、京都のMKにこの10月までわずかな期間ですが勤務していたドライバーです。MKが再規制反対の54万人署名簿を国土交通省に提出したとの報道を見聞し唖然としています。
私が勤務中に会社から半強制的に課せられた再規制反対の署名収集には、ドライバーたちが頭をいためていました。
国土交通省へ提出するために日に10署名、10月末までにドライバー1人当り200署名がノルマっぽい指示でした。
お客様からはそんなに署名が集まるはずもなく、私を含めて周りのドライバーたちは親戚や知人の名前を(許可なく)署名簿に書くのが日課になっている人もいました。しかし、それにも限界があり、電話帳から無差別に名前と住所を書いていました。たぶん他のドライバーたちも似たような状況ではないかと思うのですが?
その署名簿を毎朝集めている上司たちもその実態には気がついているはずだとも思うのですが?各営業所に課せられたノルマ達成のために見て見ぬふりだったのかな?と思います。
このような署名が果たして有効なのかと疑問に思っている私です。