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2013年12月の記事
大阪交運共闘会議が第23回定期総会ひらく
2013/12/17
現場と霞ヶ関の乖離深刻
大阪交通運輸労働組合共闘会議(南修三議長=全港湾阪神支部)は12月7日、第23回定期総会を自交会館で開き、「現場の交通運輸労働者の労働・生活実態に根ざした要求を基礎に、職場からのたたかいを地域にひろげる」などとする2014年度活動方針を決定しました。
ごう慢な政権に反撃を
あいさつを行なった南議長は「自民・公明両党が衆参両院で過半数を占めるようになった結果、かつてないほどの社会保障改悪が進められ、来年4月には消費税率が上げられようとしている。昨日には特定秘密保護法が強行採決の末に成立した。ごう慢な自・公、安倍政権に我々労働組合は連携して力強く反撃していく」と決意表明。
来賓あいさつでは大阪労連・川辺議長が「交通運輸の労働組合は、労働者の権利を守ることと、利用者の安心・安全を守ることを、一体のたたかいとして取り組むことが必要だ」「たたかいを前進させるためにも、組織の拡大、強化が求められている」と強調し、奮闘を呼びかけました。
TPP反対運動強める
議案提案を行なった庭和田事務局長(自交総連大阪地連)は「長距離バスの大事故を経ても厚労省は改善基準告示の改正・法制化に動かない。現場と霞ヶ関の乖離(かいり)が激しくなっていることがこの1年間活動してきた中ではっきりしてきた。官・民の労組がよりいっそう力を合わせて運動を強めなければ現場の労働者は疲弊し、安心・安全が崩壊する」と指摘。
また同事務局長は、14年度活動方針について「TPP参加反対の運動は絶対に外せない。TPPで外国人労働者が大量に流入すれば賃金は際限なく下がる。改正タクシー適正化特措法も、運転者を日本に送り出す国にとっては非関税障壁になる」と警鐘を鳴らし、「TPPの危険性を広汎な市民に知らせて、反対運動を強めなければならない」と強調しました。
国鉄民営化の愚を検証
自交総連大阪地連の吉田副委員長は討論で、「大阪タクシーセンターの管轄では60歳以上の乗務員が全体の65%を超え、公共交通として異常な状況になっている。55遠割の是正、同一地域同一運賃の実現をめざして運動を進めていく」と決意表明。
国労大阪地区本部の坂本委員長は、JR北海道で事故が続発している問題を紹介し、「公共交通の安全を守るためには、国鉄分割民営化が労働者・国民に何をもたらしたのか、検証しながら運動を進めなければならない」と強調しました。
第68回定期大会・討論−執行部まとめ
2013/12/05
タクシー産業のブラック化
地域との連携強めて正そう
大阪地連 庭和田裕之書記長
いま、タクシー業界全体が“ブラック産業”になっているのではないかと危惧しています。乗務員負担の問題など、おかしいものは「おかしい!」と労働組合として声をあげ、たたかわない限り絶対になくなりません。
皆さんに考えてほしいのは「安定雇用」。「雇用」だけでは生活が安定しません。経営が本当に危ないというのであれば、乗務員負担ではなく、賃率を労使で話し合うべきです。
今後、さらなる労働者への攻撃で難局を乗り切ろうとする事業者がないとは言い切れません。我々は地域労連との連携、ヨコのつながりを強めておく必要があります。
問題の本質は供給過剰
バスの様々な問題は改善基準に行きつきます。厚生労働省は労働時間の問題について「労使間で決めたことは労使間で」と逃げの一手ですが、事故や過労死をいかになくしていくかは行政が考えるべき問題です。関越道の事故がその契機になるかと思われましたが、闇は深い。大阪地連は改善基準の改正・法制化に向けて研究会を立ち上げて議論し、運動を進めていきます。
地連としては過労を防ぐためにタクシーの走行距離規制は絶対に必要だと考えています。距離を長く走るほど疲労の度合いも大きくなります。問題の本質は供給過剰にあります。必要なのは走行距離を延ばすことではなく、実車率を高めることです。
共済 今後も議論
共済については、執行部としては、将来剰余金が出てきた場合、ひとつは共済費の値下げ、もうひとつは給付の拡充を考えています。
試採用乗務員の共済加入資格の問題は、試採用中でも組合員になれるよう単組で規約を改正すれば解決します。
あきらめたら終わり
消費税率が5%に上がった97年から98年にかけて大阪のタクシー労働者の年収は65万円も減りました。大阪地連としても朝日自動車労使が取り組まれたような増税阻止の行動を今後も追求していきたい。
消費税増税が実施されたとしても、その後の運動にどうつなげていくか、絶対に問われます。8%の次は10%への増税が待ち構えています。あきらめたら終わりです。
労働組合の使命は職場の労働条件改善、権利拡大だけではなく、日本社会全体が抱える問題に取り組まなければなりません。
大阪府下ではさらに橋下・維新の会の暴政が吹き荒れ、難題が山積しています。まじめに働く労働者・国民が報われる社会をめざし、自交本部、全労連、大阪労連や民主団体とともに団結してがんばりましょう。
改正タクシー適正化・活性化特措法が成立
2013/12/05
反省なき行政手法では限界
根本からの規制強化が必要
改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法が、11月20日の参議院本会議でみんなの党以外の与野党が賛成し、可決成立しました。09年に現在のタクシー活性化特措法が施行されて4年、同法の主旨である労働条件改善が今回の改正で必ず達成されるとまでは言い切れません。
今回の改正では現在の特定地域は「準特定地域」へ移行し、新たにより強力な規制をかける「特定地域」を指定、減車勧告・命令や下限割れ運賃の変更命令を発することができるようにします。
また、運転者の登録制を全国に拡大するとともに、指定地域(政令市)では、講習受講・効果測定で可能だった登録要件を試験合格に厳格化します。
こうした改正案の目的は積極的意義をもつものですが、実際には今後詳細が決まる特定地域の指定要件、命令などの発動基準などが関わってきます。
業界紙「交通界21」は「今回の法改正は需給問題の面からみる限り、準特定地域以下では現行法とほとんど何も変わらないのであり、特定地域に指定されて初めて、規制の強度が大幅に上がるというもの」と論評(11月18日号)。衆議院での審議の中では、新「特定地域」の指定は相当厳しい基準が適用され、限られた地域になる模様です。
提案議員(自民党・金子元国交相)が、「増車や運賃は原則自由」という道路運送法の1階部分は変わっていないと答弁しているように、規制緩和を根本的に改めるものではありません。
供給過剰3500台
規制緩和の前から
同法案が衆議院を通過した11月8日、日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が自交会館に来訪。大阪地連のなかま3人にタクシー運転者の賃金・労働条件、生活実態、業界が抱える問題点について聞き取り調査を行いました。
なかまは「タクシー活性化法施行(09年)後の事業再構築による減車が行われた後も供給過剰の状態が続いており、下限割れ運賃もなくなっていない」「規制緩和が実施される前の2000年の時点で、近畿運輸局が『大阪市域の供給過剰は3,500台以上』との需給判断を出していた」「55遠割では全体の需要が増えず、結果的に私たちの賃下げになってしまった」などと話すとともに、不当な乗務員負担の実態を証言。「障害者割引の割引分を乗務員から徴収」「事故を起こした乗務員に損害金を全額弁済させていた」などの事例を紹介すると、辰巳議員は「タクシー業界全体がブラック化してるんですね」と驚いていました。
安全性損なう
累進歩合断ち切るべき
11月19日の参院国土交通委員会では「過度な遠距離割引についてどのようにお考えか」との辰巳議員の質問に、提案者側の三日月衆院議員(民主党)が「タクシー業界にある慣行、累進歩合制であるとか、運転者負担とか、長距離の過度な割引が運転者の無理を生じさせ、かつ安全性を損なっているという悪循環は断ち切るべき」と応じました。
また、辰巳議員は「規制緩和は間違ってなかったという話が行政から出されるが、供給過剰の問題は規制緩和前から起こっていた現象だ。この点で行政の責任もある」と指摘しています。
大阪地連は、第68回定期大会で決定した2014年度運動方針の中で、今回の法改正について「需給調整と運賃の規制強化は当然のことであり、成立すればその積極面の活用をはかっていく。同時に、法人企業中心の業界秩序回復という限界面もふまえて、将来のタクシーのあるべき姿としてタクシー運転免許構想の周知をはかっていく」「2000年に道路運送法を改悪して規制緩和を実施したこと自体を反省してその根本を是正せずに、運営面だけで規制強化をはかる行政手法には限界があることを直視して、規制の根拠となる法整備をふまえた規制強化策を求めていく」としています。