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2015年12月の記事
規制緩和 得る物より失う物が多い
2015/12/16
吉田副委員長(自交大阪地連)
吉田栄二副委員長は、交運共闘会議第25回定期総会で自交労働者の労働実態と、その根本原因でもある「改善基準告示」の法制化の必要性を他産別の幹部に訴えるとともにライドシェア(自家用相乗り)問題について、以下のように指摘しました。
タクシー産業の焦眉の問題となっている規制改革会議に提案されたライドシェア・白タク解禁や二種免許の取得規制緩和など、新たな規制緩和や規制撤廃の動きがあります。
リフトやウーバーなど米国本拠で世界各地に進出しているスマホ配車で自家用車へ相乗りさせるサービスは、二種免許をもたない一般市民による輸送となり無許可営業の白タク行為で、明確な道路運送法違反です。しかしリフトに360億円出資する楽天の三木谷会長が代表理事を務める新経済連盟は、道路運送法を改正し解禁することを求めています。
また、橋下・維新の会による「タクシー自由化特区」提案(昨年8月)や公定幅運賃を下回る低額運賃を認める判決(11月)などの動きも重視し、規制緩和を許さず、適切な規制が維持されるよう理論的な批判を強め、世論の喚起をはかる必要があります。
同時に、現在の国交省の規制「強化」策は、規制緩和の失敗を省(かえり)みることなく、道路運送法は「規制緩和」を維持し、運用面を「規制強化」するため、司法判断はことごとく国が負けるという事態に陥っています。
人の命を扱う産業に、規制緩和を持ち込めば、得る物より失う物の大きさを国が直視し、法律も含めた抜本的な転換が急がれます。
交通運輸の労働条件改善めざし「11・12中央行動」
2015/12/08
国交省に向けて「許すな『白タク合法化』」とアピールする東京地連・交運共闘のなかま(11月12日、東京・霞ヶ関で)
白タク合法化許すな
交運共闘は11月12日、「戦争法廃止、国民本位の交通政策実現、交通運輸労働者の労働条件改善をめざす11・12中央行動」を東京都内で実施、全体で1000人、自交総連から501人が参加しました。
霞ヶ関の国交省前であいさつに立った交運共闘・赤羽議長は「戦争では交通運輸労働者も駆り出される。戦争法廃止を掲げ、規制緩和反対や労働条件改善に取り組もう」と訴えました。
自交本部・早川副委員長が決意表明し、国交省・厚労省にそれぞれ個人請願署名を提出しました。
同日、自交本部は国交省・厚労省交渉に取り組みました。国交省交渉で組合側は「白タクを合法化する道路運送法改正等を行わないこと」などを要請。省側は「自家用車を利用した白タクは、安全、利用者保護の観点から適切ではない」「現行の自家用有償輸送の仕組みで過疎地住民の足は確保されている。国家戦略特区諮問会議に対して国交省としての立場はちゃんと主張していく」と応じました。
厚労省交渉では組合側が「年次有給休暇の不利益取扱いの是正を徹底し、不当に賃金額が減少しないようにすること」と要請したのに対し省側は「有休取得によって不利益があれば指導している」としました。
「低額」事業者の公定幅運賃訴訟 国が敗訴
2015/12/08
利用者略奪商法を容認
実態無視する不当判決
ワンコインドーム(町野勝康代表取締役)が公定幅運賃制度を「営業の自由に対する根本的な制限」として国を相手どり、運賃変更命令などの行政処分を出さないよう求めた訴訟で大阪地裁(西田隆裕裁判長)は11月20日、同社の訴えを認めて運賃変更命令や事業許可取り消しをあらかじめ差し止める判決を下しました。
判決文によると、ワンコイン側はこの裁判で「他のタクシーよりも低額な運賃でタクシー事業を営んできたのであり、」「命令に従って初乗運賃を660円以上に変更した場合には、他のタクシーとの差異が失われてしまい、」「事業は破綻(はたん)する」と主張していました。
西田裁判長は下限割れ運賃について、「(特措法改正前の)個別の審査により、」〈不当競争を引き起こす恐れがない〉などの「基準を満たすものとして(略)認可を受けた」のだから、“低額”を認めても労働条件悪化や安全性低下が直ちに「生ずるということはできない」と判断。バラバラ運賃による労働条件悪化の経緯、経営コスト負担を運転者に押しつける“低額”の実態を直視しない不当判決です。